戦前の韓流「アリラン」
♬ https://www.youtube.com/watch?v=TwlocfSIlS8 菅原都々子((すがわら つづこ)「アリラン 月夜」
1926年に制作された映画「アリラン」の主題歌として作られた「本調アリラン」は、映画の上映、さらにレコード「アリラン」の発売などで韓国人の間で広く知られるようになった。
ところで、その「アリラン」は1920年代末から日本でも大流行したのである。
1927-1931年頃には、「アリラン節」(阿部秀子歌)が、 1930年には「아리랑」(蔡奎燁 歌)が、1931年には「アリラン」(西条八十作詞、金色反面 小林千代子歌)などが発売されている。
1931年佐藤惣之助作詞、古賀政男編曲の「アリランの唄」が発売された。この歌は日本人歌手淡谷のり子と韓国人歌手蔡奎燁(この歌では長谷川一郎という日本人の芸名を使用)のデュエットで日本語で歌っている。
古賀政男は「アリラン」について、次のように大変好意的に述べている。
「こころみに花唄の巷、山櫻河亭に遊んで、清楚な装(よそお)いした妓生が哀訴の風情を以てアリラン、コゲロノモカンダと冴えのいい太鼓の音に合せて唄ふのを聞いた時、いかにこの唄が音楽的に素晴らしいかを知ることができるでしょう。」雑誌『改造』1932年12月
さらに、「アリラン」をタイトルにした曲が次々に作られている。
1932年:「アリラン」(植田国境子作詞、笑太郎歌)、「アリランの歌」(歌島花水作詞、横田良一歌)
1933年:「アリランの唄(映画主題歌)」(服部良一編曲、横田良一歌)、「アリランの歌」(宝塚杵マスター歌)、「新アリラン」(古賀政男編曲、蔡奎燁 歌)、「新アリラン」(金龍煥歌)
1934年:「江南アリラン」(尹鍵栄歌)、「アリラン小唄」(服部龍太郎作詞、篠原正雄作曲)、「アリラン時雨」(1934)(原田貞輔作詞、原田誠一作曲、渡辺光子、島津一郎歌)
1935年:「アリラン節」、{ノクトゥリアリラン}(羅仙嬌唄)、「アリラン夜曲」(坂村真民作詞、鈴木静一作曲、渡辺はま子歌)、「アリラン越えて」(松村又一作詞、原野為二作曲、山野美和子歌)
1936年:「アリラン」(小倉俊編曲、劉鐘燮歌)、「アリラン密陽アリラン」(張慶順歌)、「アリラン夜曲」(西条八十作詞、江口夜詩作曲、松平晃歌)、「アリランの唄」、「アリランの唄」(島田磬也作詞、杉田良造作曲、岡蘭子=李蘭影歌)、「アリラン新曲」(島原邦人作詞、レイモンド服部作曲、岡島貴代子歌)、「アリラン小唄」(鈴木かほる作詞、服部逸郎作曲、京城百太郎歌)、「密陽アリラン」(権弄仙歌)
1937年:「アリラン」(金仁淑歌)、「アリラン夜曲」(高橋掬太郎作詞、服部良一作曲、赤坂百太郎歌)、「アリラン悲歌」(野村俊夫作詞、水島早苗歌)
1939年:「アリラン」(蒋玉祚歌)、「アリランの唄」(朝鮮民謡、菊丸唄)、「アリランの唄」(天地芳雄作曲、菊丸歌)
1940年:「コルマンデアリラン」(金龍煥歌)、「月のアリラン」(矢島寵児作詞、若葉茂男作曲、小林千代子歌)、「アリラン娘」(金安羅歌)、「アリランブルース」(西条八十作詞、服部良一作曲、高峰三枝子歌)、「アリラン娘」(若杉雄三郎作詞、東辰三・三宅幹夫作曲、林東馬歌)、「アリラン物語」(若杉雄三郎作詞、服部正作曲、金安羅歌)、「アリラン酒場」(金鳳鳴歌)
1941年:「アリラン月夜」(島田磬也作詞、陸奥明作曲、菅原都々子歌)
当時、日本で「アリラン」がどれほど流行っていたかについては、韓国人詩人金素雲が以下のように書いている。
東京朝日新聞1931年7月23日)